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オーナーの理想に応え、具現化する技術力
ビルダーが技を凝らし、乗り手であるオーナーの理想を実現する……すべからく、チョッパーという乗り物は、そうした過程を経て生み出されますが、愛媛県のナッツカスタムサイクルズが手掛けたこの一台は、まさにその典型と呼べるものかもしれません。
実際、ビルダーの薦田浩志氏は「オーナー様の理想を実現する為、ほぼすべてのパーツをワンオフで製作しました」と語りますが、車体を見ても、随所に注がれた技工の数々が伝わるものとなっています。
骨格となるフレームはパウコ製のネック角を変更し、同社製のナロースプリンガーをセット。その上で散りばめられたガソリンタンクやオイルタンク、フェンダーやシートなどは丁寧な創り込みが施されており、クオリティの高いフィニッシュに仕上げられています。
ペイントはナッツの手によるソリッドなビビッド・レッドとなっていますが、外装の各部には金属のモールを備えることで車体のデザインの統一感を演出。シートも同系色のコーデュロイがあしらわれ、それはシッシーバーにも及んでいるのですが、こうした細かなディテールが車体に個性を生んでいるのは間違いなさそうです。そのデザインの統一性はマフラーエンドも同様です。
またエンジンにしてもピストンにS&S製3-5/8”、クランクに4-3/4”サイズを組み込み、排気量を98cu-inまで拡大。キャブにS&SスーパーE、カムはアンドリュースのJカム、点火はダイナSに換装し、快活な走りを実現します。ベースとなった1340ccのショベルといえばストックでもパンチのある鼓動感を感じるフィーリングとなっていますが、1605ccまで排気量を高め、要所をJIMS製パーツで固められたこの一台の走りは、『操り、走らせる楽しさ』が更に見込めるもの。操作系もフットクラッチにハンドシフトを採用し、チョッパーらしい醍醐味を増幅します。
「全体的に奇抜なデザインになったかもしれませんが、仕上がりはシンプルで上品な雰囲気にまとまったのではないかと思います」とビルダーが語るこのマシン。創り手と乗り手の理想が見事に合致した一台です。
本文中にあるようにエンジンは排気量を98cu-inまで拡大した上でリフター、リフターブロック、プッシュロッドをJIMS製に換装。S&SスーパーEに装着されたエアクリーナーはMMMプロダクツ製。
凝ったデザインのハンドルバーはナッツによるワンオフ。インナー化されたスロットルに装着されたグリップはナイスモーターサイクル製を選択する。
リアブレーキはPM製。フロントがノーブレーキゆえ、スタイルのみならず制動力も考慮に入れ、選択する。シッシーバーを兼ねたフェンダーストラットやフェンダー、オイルタンクのモールにも注目したい。
凝った造形のシッシーバーはナッツによるワンオフを装着。テールランプはGUIDE製マーカーランプを加工したもの。アップスウィープマフラーも当然、ワンオフ。
シートはジミードープ製ワンオフ・ハイバックシートを装着。デザインといい、表面の処理といい、かなり凝った造りになっている。ハンドル周りをシンプルにする為、スイッチ類は車体左側に装備する。
プライマリーはプリモ製1.5”オープンベルトに換装。ミッドハイとなったステップ、ハンドシフト周りはナッツによるワンオフ。ヘッドがツインプラグ化されているゆえ、コイルもデュアルで装着する。
フロントはパウコ製ナロースプリンガーをセット。そこに装着されるコンパクトなヘッドライトはナイスモーターサイクル製。ホイールはスプールハブ&スポークのノーフロントブレーキ。