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北海道、旭川のノースブロス。その創業25周年を記念したソフテイル
過去を振り返ると人が居住するエリアで日本での最低気温を記録したことがある街、旭川。北海道といえば、どこまでも続きそうな一本道がある大陸的な風景から夏はライダーたちの憧れの地となっていますが、その一方で冬は厳しい寒さの土地であるのは否めないところ。聞けば10月下旬から冠雪が始まり、4月までは現実的にバイクを走らせることが出来ないとのことですが、しかし、そうした環境が逆に功を奏し、「冬の間はカスタムする」というノリが定着、アツいマニアが多いことで知られています。実際、旭川市といえばハーレー・カスタムショップが多く軒を連ね、北海道というエリアの中で「カスタムの中心地」といえるのですが、ここに紹介する一台は、その場所で創業し、2018年に25周年を迎えた老舗ショップ、ノースブロスによるアニバーサル・マシン。ハイクオリティなEVOソフテイル、という部分が1994年からの同店の歴史を、あたかも象徴するものとなっています。
日本でハーレーがブームとなりはじめた1990年代前半、今のようにナックルやパンといった旧車を見かけることは難しく、ショベルやEVOがカスタムの中心軸にあったのですが、ノースブロスのビルダー、辻裕弘氏もまさにその「ど真ん中」世代。1990年頃からプライベーターとしてカスタム・ビルドをスタートし、仲間内のバイクの修理や整備、改造をしているうちに、自らのショップを設立するに至ったのですが、その当時より得意とするのがアルミビレットのパーツを多用したハイテックなカスタム。自動車整備やトラクターなどの農機具の整備をするメカニックだった経歴から、創業まもなくから「カッチリとした」カスタマイジングに定評のあった同店ですが、この25周年記念マシンもビルダー、辻裕弘氏の四半世紀に渡る経験と技術の研鑽を感じさせるムードに仕上げられています。
1991年式のFXSTCをベースにし、フロントに74スプリンガーをセットしたこのマシンはリアに18インチの200幅タイヤを装着することで車体のバランスが確保されているのですが、リアフェンダーのカットやタンクのマウント位置も絶妙なもの。ことさらにクラシカルでもハイテックでもないノースブロスらしいオリジナリティを感じさせるフィニッシュに仕上げられています。
その中でもタンクやマフラーは同店らしい独創性が与えられており、チョッパービルドの根本である「他と違うもの」を求める姿勢が垣間見えるものです。またブラックを基調としたカラーリングでありながら、マットとグロスを組み合わせ、差し色にゴールドを入れるあたりにも、ビルダーである辻裕弘氏のセンスの高さが伺えるもので、地味でも華美でもないルックスは、やはり絶妙です。
サラリとした飽きのこないであろう雰囲気だからこそ伝わる25年のキャリア……そんな熟練の技に「歴史の重み」を感じさせる一台です。
エンジンは全体がブラックに塗り上げられた1992年式EVOモーター。ミクニHSRにはVity’s Design製ファンネルがセットされる。フットペグはRSD製。
立体的な造形で仕上げられたフューエルタンクはノースブロスによるワンオフ。25周年を記念するロゴが描かれたペイントは地元、旭川のビッグダディ・グラフィックスが担当する。カーボン柄を思わせるサイド部の細かい模様をはじめとする仕事の丁寧さにも注目したい。
エンド部のデザインが特徴的なエキゾーストはBSL製を装着。ご覧のようにセラコートを施した上で、兵器を連想させるロゴが描かれる。
プライマリーはBDL製3インチベルトを選択。インナープライマリーも車体に合わせてブラックにペイントされ、表情が引き締められている。
社外のレプリカ74スプリンガーにセットされたローターもガンコートでブラックアウトする徹底ぶり。ブレンボキャリパーはリアのRSD製とのコーディネートを考慮し、ロゴを後付けしたとのこと。ヘッドライトはEMD製、ライザーはカスタムテック。