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2020年05月08日

NAVY’S Customcycles “Thunder Strike”


取材協力=ネイビーズカスタムサイクルズ phone 0293-30-5350 http://www.navys-customcycle.biz/

ひとつのパーツから発想を得た明確なコンセプト

 1957年から1985年まで……H-D社からリリースされ、“スポーツバイク”としての一翼を担った“アイアン・ヘッド”のスポーツスターですが、そのペットネームからもお分かりのとおり、前時代的な“鉄ヘッド”という構造ゆえ、ネガティブな弱点を抱えていたことは否めない事実ではないでしょうか?
  当時は鋳鉄製ヘッドが採用されていたスポーツスターのソレを放熱性の高いアルミへと変更した上で、バルブ挟角をファクトリー・レーサー“XR”と同じ構造とした“Robison Thunderheads”は、そんな時代である80年代に300セットがリリースされ、今でもマニア垂涎のプロダクツとして知られているのですが、ここに紹介する一台は、まさにそのパーツがカスタムビルドの起点。ビルダーの紺野武人氏曰く、それと同時にスタイル的なコンセプトも、“Thunderheads”を軸に決定された一台とのことです。


 ロッカーカバーに刻み込まれた“雷雲”から発想を得たビルダーの紺野氏は車体の外郭を成す“トレイシーボディ”に蒼天の成層圏と、さらにはタンク上部に宇宙を描くことで“スペーシー”なペイントワークを決定。NORIカスタムペインティングの手で美しく描かれたエアブラシによって、文字どおり“宇宙規模”のアートワークが車体全体に広がっているのですが、こうしたポイントも未来的なデザインのトレイシーボディのスタイル・イメージを見事に強調しています。加えてスタイルといえば、このマシン、フロント周りはレーサーのゼッケンプレートを思わせる装飾にデュオグライド・テールのボディを流用したLED内蔵のヘッドライトが装着されているのですが、ベーシックなデザインのパーツを使いながらも、発想を変えることでペイントイメージに見合った“宇宙的”とも“未来的”ともいえる独自の個性を与える点は見事に尽きるものです。


 無論、パフォーマンスにしても過去の時代に“高性能”を求めたアルミヘッドの持ち味を殺さぬようベースとなったKフレームとスイングアーム周りは、あえて純正のセットアップをキープ。1987年にH-D社からオール・アルミエンジンのスポーツスターが登場したゆえ、徒花のように短命に終わってしまった“Thunderheads”というパーツですが、しかし、そのパワーは現代でも十二分に通用するもの。エンジンにサンダンス製XRピストンとFCRキャブを備えたこのマシンの戦闘力が余すことなく発揮出来る仕様となっています。スタイルと走りを両立するこうしたスタンスも大いに評価されるべきものです。
 ネイビーズといえば優れたチョッパービルドはもとより、VDAドラッグレースhttps://v-twin-drag.com/ のスーパーヴィンテージクラスにおいてパンヘッドで1/4マイル、11秒台のタイムを叩き出し、フラットトラックにも積極的に参戦するショップとして知られた存在ですが、このマシンはともすればカスタムビルドにおいてもチョッパーやレーサースタイルなど自由な発想で硬軟自在に変化し、無限に広がる紺野武人氏というビルダーの“内的宇宙”を如実に表わしているのかもしれません。


エンジンは1974年式XLCHにサンダーヘッドをドッキングした4カムモーター。ワタクシ、マコナベの経験上、ネイビーズが手掛けたアイアンは総じて調子が良いのですが、この一台はそのパフォーマンスが更に高められている印象。装備されたFCRと相まって鋭い加速を見せつけます。


マフラーは往年のコレクトを彷彿させるワンオフを装着。こうした箇所にも新旧問わずに様々な年式のH-Dを手掛けるショップのスタンスが垣間見えます。


タンクからテールにかけて一体化されたトレイシーボディにはNORIペインティングによって70年代調のエアブラシペイントがドローイング。車体の未来的なデザインを際立たせます。


このマシンの個性を際立たせるのに一役買うヘッドライトはデュオグライドテールにLEDを内蔵したもの。オールドパーツを使いながら、未来的なイメージを与える発想は流石です。


テールランプはトレイシーボディに合わせ、ルーカスタイプを装着。車体全体の“宇宙”というイメージから発想を得たというシートのステッチは“DNA”の螺旋を表現。こうした箇所にもビルダー、紺野武人氏の哲学的な思想が伺えます。

ちなみに今回、ご紹介させて頂いた“Thunder Strike”は現在、発売中の“THE UP MAGAZINE”の2020年5月号にも掲載。価格は税込みで980円。お問い合わせは全国の書店様および編集・制作を行う株式会社ファッションエリート(phone 03-5656-5671)までお願いいたします。

 

 

 

 

 

 

 
 

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