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乗り手とチョッパー、その関係の鮮度を保つリメイクのススメ
ハーレーダビッドソンやチョッパーに限らず、ある一定の時間が過ぎれば『飽きる』という感覚が生まれる人間の本能……それは一説によると『3年』とも云われるのですが、たとえ、どんなに『お気に入り』の愛車であろうとも、ある程度の付き合いを経ると最初の『新鮮さ』が失われてしまうのは現実なのではないでしょうか?
無論、長い年月を共にすることでカユイところに手が届く『古女房』のような関係性も良いですし、ソレはソレで魅力的ですが、しかし、カスタムの自由度の高いチョッパーの世界では『愛車をリメイクする』という有効な手段も存在します。
ここに紹介するモーターサイクルズフォースによる一台は、まさにオーナーの要望により『リメイク』が果たされたマシンとのことで、以前の仕様とはガラリと趣を変えたもの。ビルダーの久保順平氏曰く「以前は丸みのある落ち着いた雰囲気のカスタムでしたが、オーナー様の希望により、今回は‘少し不良っぽいスタイル’に仕上げた」そうで、その言葉どおり低めのZバーやハイマウントのスポーツスタータンク、そこに施されたカミカゼ・ピンストライピングのペイントワークによって、前述どおりのイメージが、まさに具現化されています。
車体はリア周りをハードテイル化したリジッドフレームにショベルモーターという王道のセットアップですが、こうした車両が「乗り物として」飽きることは考えづらいのが明白ゆえ、やはりビルダーの久保氏はエンジン周りは以前の仕様をキープ。1200ccのショベルに点火をダイナS、カムをアンドリュース製、キャブはS&Sというセットアップを残し、ジョッキーシフトからハンドクラッチのフットシフト仕様へと操作系を変更しただけに留めたとのことですが、こうしたライディング・セットアップが変わるだけでも、『走らせた時の鮮度』が大幅に変わります。無論、ジョッキーシフトの『操っている』感も魅力ですが、純粋に『乗りやすさ』を求めるのであればハンドクラッチに軍配が挙がるのは当然のことでしょう。そうした『変化』を愉しむこともチョッパーやカスタマイジングの醍醐味です。
一台のマシンと新鮮な気持ちで永く付き合う為に……そうしたことを満たすであろう『リメイク』という選択肢は、やはりカスタムの自由度が高いチョッパーという乗り物の特権なのではないでしょうか? それを差し置いてもクールな一台です。
Fork製エアクリーナーに刻まれたエングレービングは神戸のシルバースミス・フィンが担当。オーナーが思い入れを持つボブ・ディランの楽曲、『Mr Tambourine Man』の歌詞が刻み込まれているという。プッシュロッドカバーもシルバースミスフィン製を装着。
ナロースポーツスタータンクに描かれたペイントは京都のカミカゼピンストライピングが担当。絶妙なグラデーションからも技術とセンスの高さが垣間見える。
ハンドル周りは低めのZバーにイージーライダース製ライザーという組み合わせ。グリップはBiltwell製、ブレーキマスター&レバー類はKUSTOM TECH製を選択する。
シートはスカート部にリベットを施したワンオフを装着。こうした箇所がサラリと車体の個性を際立たせる。バレル型オイルタンクも定番の装備だ。
テールランプは映画『イージーライダー』の劇中に登場したキャプテンとビリーのチョッパーをイメージし、左サイドの’33〜’36フォードタイプと右サイドのブレットマーカーとトリプルで装着。こうした箇所でもさり気なく個性を演出する。フェンダーマウントも丁寧な造り込みだ。